カテゴリ:狐の嫁( 100 )

狐の嫁100

暖冬。
地球温暖化がどうのという話はよくわからないけど、確かに雪があまり降らない。

代わりに雨。
雪は払えば済むけど、雨は濡れるから嫌なんだよなー。

「雨女」

狐が言った。

「文字通りの妖しだな」
「そいつが原因だとでも?」
「毛が湿るのが腹立つから取っ捕まえて送った」
「は?」

大福食って茶を啜りながら、テレビを指差す。
アフリカの砂漠地帯で100年ぶりに雨が降ったそうな。

「適材適所だね」

狐はこーんと鳴くとくるり回転しどろんと消えた。

数日後の朝。
新聞を取りに玄関先に出ると雪が積もっていた。

ある記事が目に留まる。
100年間枯渇してた川が氾濫して街1つ水没…。

…適所すぎたんじゃね?
[PR]

by zan9h | 2009-12-28 11:00 | 狐の嫁 | Comments(0)

狐の嫁99

停電。まっくら。

懐中電灯捜して辺りをまさぐってると、闇の中からぬっと青白い女の顔。
ギャーッ!…と、見れば見知った顔。化け狐。蝋燭で下から顔照らしちょる。

「びっくりするだろう」
「青行灯」

狐が言った。

「百物語の最後に現れ、魂を抜く」
「は?」
「免れるには今回で落とせば良い」
「はい??」

「99回共に居て、気付いておらぬわけではあるまい」
「はいい???」

「不束者ですがどうぞよしなに」

狐はこーんと鳴くと、くるり体をすり寄せ、どろんと灯りを吹き消した。

…。
……。
………マジ?

「このたわけものが!」
「ですよねー!」

見れば見慣れた女、化け狐。手に破れた提灯持ってる。

「毎度毎度懲りずに化かされるなよ」
「そうは言ってもなあ」

狐が呆れ顔で溜息を吐く。

「で、どうすんだ?」
「何が?」
「百を迎えたら魂を抜かれるんだろ?」
「それならもう抜かれてる」

…は?

「魂どころかあんたあたしにすっかり骨抜きさ」
「断じて違うっ!!」

ちゃんちゃん。
[PR]

by zan9h | 2009-10-28 21:40 | 狐の嫁 | Comments(0)

狐の嫁98

縁側に吊るしてた干し柿が無くなってた。切れた紐が物干し竿に引っ掛かりぷーらぷら。
もうちょっとで食べごろだったのにー。

「旧鼠」

狐が言った。

「年経た鼠は人の大きさになるという」
「ほう、ところで貴様が食ってるのはなんだ?」
「果物の乾物は奥歯に挟まる」

こいつ…。

「ちょっとは残しとけよ」
「残すも何も一つしかなかったぞ」

旧鼠が食べた、とそしらぬ顔。

「貴様、あくまで白を切るつもりか」
「ほれ」

指差す縁の下にのっそり黒い影。
なんだろと覗いた顔をカプ。噛まれた。ギャーッ!

「ね、ねずみ!?」

でかい。すげーでかい。1メートルはある。
なにこれ?マジなにこれ??

「窮するどころかまるまる太ってんなー」
「ななななな??」
「ああ、噛まれたおまえの方が窮鼠か」

ケチだしなと言い残し、狐はこーんと鳴くとくるり回転しどろんと消えた。

保健所に連絡して来てもらった。野生化したカピバラですって。
調べたら食えるらしい。…。…。…。そうとう生活が窮してるね。
[PR]

by zan9h | 2009-10-20 21:29 | 狐の嫁 | Comments(0)

狐の嫁97

パソコン。
今や生活必需品です。

家計簿付けようとフォルダ開いたらデータが消失していた。
今月分がまるごとそっくり無し。…なんで?

「鉄鼠」

狐が言った。

「書物を齧る鼠の妖し」
「いや、本じゃなくてパソコンだぞ?」
「人間だけが時代に適応していると思うなよ」

携帯ゲーム機片手に茶を啜る。
まあ、狐がゲームやるくらいだ、鼠がウィルスになって侵入しても…ん?

「貴様、それどうした?」
「インターネットは魔法だなあ」

「…家計簿いじって誤魔化そうとしたろ」
「ほう、そりゃうまい」
「は?」

「穴に鼠と書いて改竄」
「ざけんなっ!」

狐は投げた座布団くるりとかわすと、こーんと鳴いてどろんと消えた。
[PR]

by zan9h | 2009-10-13 17:55 | 狐の嫁 | Comments(0)

狐の嫁96

庭掃除をしていると降ってきた。
不意をつかれて地球と口付け。い、痛い…。

「おどろおどろ」

狐が言った。

「鳥居から落っこちてくる妖怪」
「…鳥居なんてどこにある?」

「かつてこの地には由緒正しきお狐様が祀られておったそうな」

ああ。うち元稲荷だっけ。
台所の冷蔵庫ら辺に祠があったとかなんとか。つーかその狐、こいつ。

「ところで、屋根の上で何してた?」
「隣の家の柿の実がさも美味そうに生っている」
「ありゃ渋柿だ」
「干し柿と焼酎漬けどちらも捨て難い」

「…なあ、そろそろどいてくんない?」
「うむ」

狐はこーんと鳴くと、くるり回転しどろんと消えた。
…。スーパーで柿買ってこよ。
[PR]

by zan9h | 2009-10-06 21:23 | 狐の嫁 | Comments(0)

狐の嫁95

この頃、空を飛ぶ夢を見る。
ふわふわ雲の上を漂うが、突然急降下。ガクンとなって目覚める。

「抜け首」

狐が言った。

「…頭が抜けて飛ぶとでも?」
「思い当たる節がないか考えてみるといいよ」

狐がニマリと笑う。
…無い。無いなあ。

と、目線を戻すと何やらクネクネしてやがる。

「うっふん」
「なんのつもりだ?」
「節」
「はあ?」

「アンタ、アタイに首ったけ」
「…どっと押し寄せるものがある」

狐は無責任にこーんと鳴くと、くるり回転しどろんと消えた。

気になったので調べた。

>日常生活のプレッシャー

あー…。確かにどこかの食いしん坊のせいで首が回らない。
[PR]

by zan9h | 2009-09-30 22:57 | 狐の嫁 | Comments(0)

狐の嫁94

視線を感じる。
それもそのはず隣には切れ長瞳の絶世の美女。

道行く人が立ち止まり、通り過ぎると振り返る。
まあ…正体はただの食いしん坊妖怪なんだけどね。

「目目連」

狐が言った。

「見る目が一つ二つそれこそ見る間に増えて行く」
「それは貴様が…」

言葉を飲む。透ける肌。通った鼻筋、淡く濡れた唇。流し目睫毛がばっさばさ。
こりゃ別次元だ。人種が違う。…実際、種は違うけど。

「疚しさが妖しを生む」
「は?」

「堂々としなさい、ということだ」

ニコリ微笑まれる。
…そりゃそうだな。釣り合いなぞ考えるのがバカらしい。だいたい家主はこっちだ。

胸を張る。
と、なんかさっきより視線が痛い。つーか、クスクス…笑われてる?

店のガラスに映る姿を見て驚く。ギャーッ!チャック全開ーっ!!

「人目を憚らずとはまさに」
「教えろよっ!ああ、もうっ!!」

狐はこーんと罵り、くるりステップしてどろんと人ごみに逃げてった。
[PR]

by zan9h | 2009-09-26 14:31 | 狐の嫁 | Comments(0)

狐の嫁93

ネトゲ仲間からオフ会の誘い。
我らがアイドル、かおるんちゃんも参加するとのこと。これは行くしかない。

「二口女」

狐が言った。卓袱台の定位置で大福もちゃもちゃ茶を啜る。

「もう一つの口で手当たり次第に食らう妖怪」
「それがどうした?」

「女は魔性という」

からしでも塗って行きなと言い残し、狐はこーんと鳴くとくるり回転しどろんと消えた。
何をバカなことを…。

オフ会に顔を出す。

声を掛けられた。かおるんちゃん。すごい綺麗な人。
話が弾み、今度二人で食事でもみたいな流れに。こいつはラッキーだ。

と、見目麗しいお顔に何やらうっすらと…。あれ?これって…。
膝に置かれた手がさっきからごつごつしますよ。

…。マジで?
ひえー!くーわーれーるーっ!!
[PR]

by zan9h | 2009-09-20 10:03 | 狐の嫁 | Comments(0)

狐の嫁92

最近の趣味はネットオークション。
欲しかったシルバアクセを落とすべく、今宵もモニターにへばりつく。

と、落ちた。
札でなく電源。げーっ、もう少しで競り落とせたのにー。

「火間虫入道」

狐が言った。

「生前怠惰に過ごした者が化け、行灯の火を消し仕事を邪魔するという」
「それはさておき、貴様の足に引っ掛かってるのはなんだ?」

抜けたコード。ノーパソの。

「人間、暇を持て余すと良からぬことをする」
「まず謝るのが先だろ」
「例えば、これ」

封筒を渡された。なんだ?…と見れば、見覚えのある画像。

「こういうのが趣味か」
「ギャーッ!!いつの間にーっ!!」

秘密フォルダに隠してたのにーっ。

「入道だけにヌード?」
「うっさい!」

狐はこーんと鳴くと、くるり回転しどろんと消えた。
[PR]

by zan9h | 2009-09-12 17:29 | 狐の嫁 | Comments(0)

狐の嫁91

釣り。大人のスポーツ。

浮きが沈み、グイと竿がしなる。こいつは大物、一気に引きつけネットを…
バシャーン!…残念、逃げられた。

「網切」

がくり落ち込む目の前を長いおみ足がスラーリ。
見れば切れ長瞳の美女、化け狐。黒革ミニにアミタイツはいちょる。

「網引き裂く妖怪」

まんまだなと呟き、玉網に開いた穴広げる。

「魚の活きが良かったからじゃないのか」
「場所と権利の問題」
「は?」
「許可の無い漁を密漁という」

「…」
「…」

「法の網を掻い潜るおまえが網切」
「誰のせいで家計が圧迫してると思ってんだっ!」

狐は投げつけた網をくるりかわすと、こーんと一鳴き、どろんと消えた。

…。
と、獲ってないから。
[PR]

by zan9h | 2009-09-06 23:21 | 狐の嫁 | Comments(0)