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狐の嫁49

正月の買出しに街へ。

見られてる。視線を感じる。道行く人々が必ず振り向く。
それもそのはず、隣にいるのは絶世の美女。睫毛バサバサ切れ長瞳のナイスバディ。

「肉買おう」

まあ…。ただの食いしん坊妖怪なんだけどね。

「まずは松飾やらをだな…」
「安いぞ!これにしよう!」

聞けよ。
見ればケーキ。クリスマスケーキの売れ残りの特売。

「イブ過ぎればこんなもんか」
「本番は今日だろ?」
「…日本人は真面目だからなんでも前倒すんだよ」

ふーんと頷く狐。

「それで一昨日が祝日なわけか」
「違うから!」

「人間はせわしいねぇ」

狐はため息を吐き、くるり踵を返すと、どろんと人ごみに消えた。
こーんと鳴く声が雑踏にかき消される。

…。

「あの、1つください」

by zan9h | 2008-12-25 21:38 | 狐の嫁 | Comments(0)