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パルス①

それは永遠なのだろう
くるくる回る暗い天井

くるくるくるくる
くるくるくるくる
終わらない



『畳の中央の黒ずんだ小さなシミ。このアパートに越してきてからずっとあるシミ。特に気にしてなかったが、少し前からその辺りから妙な臭いがする。
『コーヒー豆を置くがあまり効果なし。次に林檎を置いたところ多少役にはたったが、10日目で腐る。しょうがないので畳をひっくり返す』

枯れた花弁

『そこには、半ば白骨化した女性が仰向けに寝ていた。胸元に一束の枯れた花を抱いて』

ノイズ

タイトルコール

『今年の春、大学受験に失敗した。それについては何も感じない。勉強不足か、面接官に気に入られなかったか。ただそれだけ。
『いつの頃からか…ボクの中からやる気というものが消えた。遊んでいても勉強していても、どこか冷める。つまらないわけではない。ただ、何かに打ち込もうという気がしない。受験勉強でもすれば少しは気も紛れると思ったが、あまり変わらない。いや、むしろ失敗したことで拍車が掛かったような気がする。
『この無気力から脱却するために一人暮らしを始めた。一応、予備校に通うという名目で。八畳間にバストイレキッチン付きで学校まで10分。築8年で窓は南向き。家賃もそう高くなく、三ヶ月暮らして非常に快適である。
『あの死体を見つけるまでは』

『警察で事情聴取を受けた後、住む所が無くなったので自宅に帰る。両親はとても心配していた』

眼下を車が行き交う歩道橋

『一人暮らしを始める少し前、アパート近くの歩道橋で奇妙な女性にあった。手摺りに両腕でもたれ、じっと車の激しく行き交う下を見ている、長い黒髪の女。今にも自殺でもしそうな感じでただ下だけを見つめていた。顔はよくわからなかったけど、畳の下から死体を見つけた時、どういうわけか以前見かけたその女を思い出した』

ノイズ

森の中の湖
髪の長い少女がいる

「ここ。東にまっすぐ」
「キミは、だれ?」
「東に。人形とその器。それにナイチンゲール」
「何を…言っているの?」
「魔女の誕生する夜、新月の下でナイチンゲールを捧げよう」
「待って!」

ノイズ


自室で目覚める

「…ゆ、め?…なんなんだ、いったい」

屋外から物音
窓を開けるが誰も居ない

「気のせい…かな」

P(間)

『東にずっと行くと森がある。家に居ても特にやることが無いので、ボクは夢で出会った少女のお告げに従うことにした。
『途中、黒尽くめの妙な男を見かけたが目を合わせるとすぐいなくなった』



『昼過ぎに森に着いた。しばらく歩くと夢と同じ景色が目に入った』

湖畔
草を円形に倒した直径30センチほどの輪の中に木の杭が地面に刺さっており、杭の周りを白い鳥の羽とその骨らしきものが散乱している

「鳥の死骸。それに…ミステリーサークル?まさかな」
「上手な死体の隠し方って知ってる?」
「うわっ」

ボブカットの17、8歳の女の子

「まず、深い穴を掘って埋めるの。土をかけて、その上に死体を置く。もしその死体が見付かっても、その下にもう1つ死体があるなんて思わないでしょ?」
「き、きみは?」
「あなたは?」
「ぼ、ぼくは賀集夏見」
「私はナイチンゲール。今はここで羽を休めているだけ」
「え!?」
「もう少し行くと湖の畔に可哀そうな人形の城がある。行って話し相手になってあげて」

湖の先を指差す
視線を戻すと、示した反対方向に走り去る女の後姿

「あ、き、きみ…。な、なんなんだぁ…?」

P(間)

by zan9h | 2009-11-25 22:20 | パルス | Comments(0)